ノロウィルスを消毒するのに
使える市販のアルコールを
4種類紹介します。
目次
ノロウイルスはアルコールで消毒できない?
公共機関や病院などの
入り口でよく見かける、
ポンプ式の速乾性の
アルコール消毒。
また、キッチンや冷蔵庫で
使いやすい、
スプレータイプの
アルコール。
簡単に殺菌消毒ができて
便利なものです。
でも、すべてのウイルスが
アルコールで
殺菌消毒できるわけではなく、
ノロウィルスも、
アルコールで殺菌消毒が
できないウイルスなのだ
そうなんです(^^;
消毒したつもりが
できてなかったなんて・・><
そもそもなぜ
アルコールが効くウイルスと
効かないウイルスがあるのか、
違いをみてみましょう。
アルコールとウイルスの関係
ウイルスは大きく分けて
二通りあります。
キーワードは
『エンベロープ』。
封筒、という意味です。
封筒に例えられる膜に
手紙に例えられる中身が
入っているものが、
エンベロープタイプの
ウイルス。
中身がむき出しで、
言わばはがきのようなものが
ノンエンベロープタイプの
ウイルス。
ウイルスにはこの2種類があります。
ウイルスの膜は
油分を含んでいて、
アルコールを使うと、
この油分が破壊できます。
膜に包まれている
エンベロープタイプの
ウイルスは、油分を含む
膜を壊すことで
殺菌できるのです。
ところが、そもそも
膜をもっていない
ノンエンベロープタイプは、
アルコールをかけても
破壊できるものが
ないのです><
アルコールで殺菌できる
エンベロープタイプの
ウイルスには、
- インフルエンザウイルス
- 風疹ウイルス
- ヘルペスウイルス
- B型やC型肝炎ウイルス
- エイズウイルス
- エボラウイルス
- デング熱
などがあります。
インフルエンザや風疹が
流行しているようなときには
アルコール消毒が効果があります。
アルコール殺菌が効かない
ノンエンベロープタイプの
ウイルスには、
- ノロウイルス
- ロタウイルス
- ポリオウイルス
- アデノウイルス
- エンテロウイルス
などがあります。
ノロウィルスは
ノンエンベロープの
ウィルスだったんですね(^^;
小さな子供だけでなく
大人にも流行している、
手足口病やヘルパンギーナを
引き起こすエンテロウイルも
アルコールが効かない
ウイルスです。
ノロウイルスの殺菌方法の問題点
アルコールが効かない
ノロウィルス。
厚労省のガイドラインでも、
ノロの殺菌に
効果があるとされているのは、
ハイターなどの漂白剤に
含まれている
次亜塩素酸ナトリウムの利用や、
85度以上の温度で
1分以上加熱して煮沸消毒する
高温殺菌です。
ただ、次亜塩素酸ナトリウムは
いくつか問題があります。
漂白作用があるので、
白くなってしまうと困る
衣類やリネン類には
使えません。
また、漂白剤が手に付くと
ヌルヌルしますが、
水酸化ナトリウムと
塩素で出来ているので、
肌につけると
皮膚が溶ける性質があるので、
希釈して使っても
手肌の荒れが懸念されます。
プールで嗅ぐ、
あの独特なニオイがあります。
プラスチックや金属を
劣化させてしまう腐食作用があり、
ノロウイルスが付着しやすく、
殺菌消毒を徹底したい
金属製のドアノブや、
プラスチック製の
トイレの便座などに使い続けると、
傷めてしまうことがあります。
次亜塩素酸ナトリウムは、
木材(パルプ)と接触すると
効力が減弱するという特性もあり、
しっかり殺菌消毒しておきたい、
ノロ感染者が触れた
ベッドやテーブル、手すり、
椅子などの木製の家具や、
フローリングの床などには
効き目が弱いこともあります。
煮沸消毒の方も、
布団やクッション、ラグなど、
サイズ的に鍋に入らないと
煮ることができないですし、
プラスチックなど、
熱に弱い素材も煮沸できません。
次亜塩素酸ナトリウムや
煮沸消毒の副次的に、
殺菌できる方法があると
いいのですが・・
ノロウィルスを消毒できるアルコール
「ノロ」という名前が
商品名についていて、
いかにもノロウィルスに
効果がありそうな
アルコールの商品が
いくつもあります。
アルコールが効かないはずの
ノロウイルスなので、
商品説明を詳しく調べてみると、
ノロウイルスが殺菌できるとは
はっきり謳っていなかったり
するのです(^^;
紛らわしい名前の付け方は
勘弁して欲しいですw
そんな中、頼りになる情報が
みつかりました。
一般社団法人アルコール協会の
ノロに関するガイドラインです。
⇒ ノロウイルスに係るエタノール使用ガイドライン – アルコール協会
エタノールという名称が
でてきますが、
アルコールとは、
メタノール(メチルアルコール)、
エタノール(エチルアルコール)、
イソプロパノール
(イソプロピルアルコール)
などの総称で、一般的に
アルコールといえば
エタノールを指し、
消毒に用いられるのは、
主にエタノールや
イソプロパノールです。
耳慣れない化学物質的な
響きですが(^^;
エタノールの原料は
サトウキビなどの糖質原料や
トウモロコシなどで、
発酵させて製造しています。
アルコール協会の
ガイドラインには、
どんな時にどうやって
エタノールを活用したら
良いかが書いてあり、
有識者の方々のコメントも
載っています。
それによると、
ノロウイルスの消毒には
厚生省が奨めるとおり、
次亜塩素酸ナトリウムの
使用が望ましいとしながらも、
①消毒対象物に応じてエタノールの積極的な使用が望まれる場合
②手洗いの効果を高める方法としてエタノールを使用する場合
について述べられています。
その際の、エタノールの
具体的な使い方は、
エタノールを使用する場合は、その効果を高めるため、消毒対象物に対して十分な量のエタノールを用いる二度拭き(一度清拭して15秒程度経過後に二度目の清拭を行う。)をお勧めします。
エタノールの使用にあたっては、エタノールの確実な効果を上げる方法として手指を十分乾燥させた後(手指の水分でエタノールが薄まると効果が弱くなります)、指先、手のひら、手の甲、指の間・付け根によく擦り込むことをお勧めします。
手指へのエタノールの使用にあたっては、15秒以内には乾燥しない程度の十分な量を使用し、エタノールが完全に乾燥するまで両手を擦り合わせることが効果を高めることになります。
となっています。
まとめますと、
一度吹きつけて
15秒ほどおいてから
もう一度吹きつけて
二度拭きする
水分で薄まると
効果が弱まるので、
対象物が乾いている状態で使う
15秒以内で
乾燥してしまわない程度の
十分な量を使う
というあたりが
ノロウィルスを
アルコールで消毒する
キモのようです。
日本薬局方の消毒用エタノール
アルコール協会の
ガイドラインには、
エタノールを主成分とする消毒薬には、日本薬局方に定められている消毒用エタノール(76.9~81.4vol%)の他、エタノール以外の副成分としてウイルス・細菌の不活性化効果を高める成分が添加されているアルコール系消毒薬も あり、身近な日用品として利用できます。
ともあります。
日本薬局方の
消毒用エタノールとは
こちらです。
日本薬局方とは、
厚生労働大臣が
薬事・食品衛生審議会の
意見を聴いて定めた
医薬品の規格基準書で、
たいがいの薬局や
ドラッグストアに
日本薬局方のコーナーがあり、
日本薬局方のエタノールは
容易に入手しやすいものです。
ちなみに、エタノールには
消毒用エタノールのほかに、
無水エタノールというものも
あります。
無水と消毒用の違いは、
水で薄めてあるかどうかで、
それぞれ含有する
エタノールの濃度が異なります。
無水エタノール:
エタノール99.5vol%以上
消毒用エタノール:
エタノール76.9~81.4vol%
vol%という見慣れない
単位がでてきましたが、
体積で測った比率のことで、
volume%を略して
vol%となっています。
無水エタノールは気化しやすく、
清掃には無水エタノールが
適していますが、
消毒効果には、
エタノール濃度が80%前後のものが
最も優れていてます。
無水エタノールを薄めれば
消毒用エタノールが作れ、
消毒用エタノールなら、
希釈せずにそのまま
ウイルスの殺菌消毒に使えます。
消毒用エタノールの使い方は、
乾いた布や脱脂綿などに
液をひたして使ったり、
スプレーに移して
吹きつけて使います。
入手しやすい
消毒用エタノールですが、
浸したりスプレーボトルに
移したりするのは
扱い方がめんどう・・という
私のようなズボラな方に
朗報ですw
消毒用エタノールの
濃度に近いスプレー入りの
アルコールがあります^^
ドーバーパストリーゼ77
77の名の通り、
アルコール濃度が77%です。
以前は通販でしか
見かけなかったのですが、
最近は、ノロウイルスの
流行もあってか、
ドラッグストアで
販売されているのを
みかけるようになり、
入手しやすくなりました。
こちらは、ホームセンターの
島忠ホームズ(シマホ)の
アルコール除菌用品の
棚でみかけた
パストリーゼ77です。
並んでいるほかの商品と
比べると価格が破格ですが、
その差はアルコール濃度の
違いです。
その辺、ホームセンターでは
詳しく説明してないんですよね(^^;
それと、こちらによると、
カテキン効果で特許取得
高純度の緑茶抽出物(カテキン)配合により噴霧後も長時間、細菌の増殖を抑制出来ます。
ノロウイルス効果実証・新型インフルエンザ対策・O-157効果実証
となっているんですけど、
パストリーゼ77の
特許5281808というのは、
英文のこちらでして、
英語のわからない一般人でも
わかるような情報を
公開していただけると
わかりやすいのですが、
特許的に無理なのかしら(^^;
ということで、
アルコール77%ながら、
実力の程が伝わりにくい
ドーバーパーストリーゼですw
Amazonだと、パストリーゼ77の
詰め替え用やポンプタイプ、
お得な大容量のタンク入りも
販売されています。
酒造会社が作っていて、
遺伝子組換えのない
サトウキビ100%の
高純度醸造酒用アルコールと
純水が使われています。
漂白効果や腐食作用、
嫌なニオイもありません。
食品にかけて、
口に入っても大丈夫ですし、
顔や体にも使えます。
アルコール協会の
ガイドラインを
もう一度みてみましょう。
エタノールを主成分とする消毒薬には、日本薬局方に定められている消毒用エタノール(76.9~81.4vol%)の他、エタノール以外の副成分としてウイルス・細菌の不活性化効果を高める成分が添加されているアルコール系消毒薬も あり、身近な日用品として利用できます。
アルコール濃度は
やや低いのですが、
ウイルス・細菌の
不活性化効果を高める
成分が添加されていて、
身近な日用品として
利用できそうな
2種類のアルコールを
紹介します。
メルシャン エークイックPRO
エークイック PRO 500ml スプレーヘッド付 APRO500ML/SPHEAD500
成分は、
エタノール:55%
乳酸:2.13%
グリセリン脂肪酸エステル:0.03%
乳酸ナトリウム:0.02%
水:42.82%
エタノールの重量%は55%、
容量%は63vol%です。
KIRINのニュースリリースの
記事なんですが、
『エークイック PRO』は、中でも、食中毒事故が頻発しているノロウイルスに効果がある新しい製品を開発するため、2006年よりバイオメディカルサイエンス研究会※1(BMSA)の試験協力の下、製品化されたものです。
○商品特徴
1.ノロウイルス※2をタンパク質存在下でも除去
2.インフルエンザウイルスを除去
3.速効性、展延性、成分の長期安定性を実現
4.食品添加物規格で、厨房など食周りでも安心
5.取り扱いやすい、非危険物規格※3※1感染症対策関連分野、予防医学の推進活動、環境衛生分野等の研究交流及び、受託試験事業を行っている。国公立研究機関、大学等の出身専門家によって構成された非営利団体。
※2ノロウイルス代替のネコカリシウイルスで検査
※3消防法危険物に該当しない
となっています。
また、こちらは
フードドリンクニュース内の
記事なんですが、
メルシャンの「エークイック・プロ」は、嘔吐物などタンパク質があってもノロウイルス(ノロウイルス代替ネコカリシウイルスで検証)を瞬時に殺菌してくれる。3年の歳月をかけ開発され、2009年8月の日本食品工学会で発表。画期的な発明と多方面から称賛されている。
原料は、エタノールと食品添加物としても利用可能なリン酸。医薬部外品などで使われる薬剤を使った除菌剤とは異なり、安全性が高く、仮に食品にかかったものが、口に入れても問題はなく、食品関連業界にはピッタリのものだ。
となっています。
エークイックPROの
サイトは見当たらず、
実際の検査結果などは
確認できません。
詰め替え用のボトルや、
大容量の5Lタンクがあります。
【番外編】ジェームズマーティン
ジェームズマーティン フレッシュサニタイザー 500mlスプレー入り
成分は、
エタノール57.22%
DL-リンゴ酸0.35%
グリセリン脂肪酸エステル0.3%
DL-リンゴ酸ナトリウム0.06%
精製水42.07%
液性:弱酸性
公式サイトのQ&Aによると、
重量濃度は57.22%ですが、
容量(成分)濃度は65vol%です。
エタノールが57.22%と
ノロウィルスを殺菌するには
ちょっと少なめですが、
以前、公式サイトには、
ジェームズ マーティンはリンゴ酸配合により、phを弱酸性にすることで、ノロウイルスへの除菌効果が実証されました。
との記載があったのですが、
サイトがリニューアルされて、
その文面がなくなってしまい、
ノロへの効果の確認が
できなくなってしまいました(^^;
新しくなったサイトでは、
細菌対策
・濡れた場所でも効果が期待できます。
ジェームズ マーティンの6倍希釈液での試験を行い、変わらぬ効果が確認できました。
これによりキッチン、水周りなど水滴の付いた場所でお使いいただいても効果が期待できます。
となっています。
薄めると効果が弱まってしまう
アルコールですが、
ジェームズマーティンは
- アルコールの除菌力
- グリセリンの抗菌力・保湿性
- 有機酸(リンゴ酸)による弱酸性
が使われている働きからか、
薄めても効果が
期待できるそうです。
サイズ展開も、
- スプレー
- ポンプ
- 泡ハンドソープ
- 携帯用アトマイザー
- 大容量タンク
と他にはない
幅広いラインナップです。
ということで、
使いやすそうながら、
現在はノロへの効果が
確認できないので、
番外編ということにします。
アルコール消毒の問題点
アルコールには、
変色、溶解、亀裂、膨潤などの
変化が起きる場合があるので、
以下のものは確かめてから使用する
必要があります。
樹脂、塗料、
ワックスなどの塗布面、
ゴム材料、皮革材料、塗装製品、
カシュー塗装品
それと、使い方なんですが、
ヨシダ製薬というところの
感染対策情報レターによると、
ノロウィルスの
アルコール類感受性の試験では、
70%の濃度で30秒で
ノロウイルスが99.97%
不活性化されています。
また、前述通り、
アルコール協会の
ガイドラインにあったように、
一度吹きつけて
15秒ほどおいてから
もう一度吹きつけて
二度拭きする
水分で薄まると
効果が弱まるので、
対象物が乾いている状態で使う
15秒以内で
乾燥してしまわない程度の
十分な量を使う
ということで、
アルコールでノロを消毒するには、
二度拭きしたり、
しばらく時間をおいたり、
十分な量を使う必要があります。
ノロに感染してしまい、
下痢や嘔吐の症状が
発症してしまうと、
トイレにこもりっきりになり、
アルコールを二度拭きで30秒・・
などといった余裕が
ないような状態になります(^^;
アルコール消毒は、
ノロの予防向きの
消毒方法かと思います。
時間をおかずにノロウィルスを
瞬殺できるスプレーもあります。
【関連記事】
⇒ ノロウィルスを殺菌消毒できる除菌スプレー
まとめ
- 次亜塩素酸ナトリウム
- 熱湯消毒
- アルコール消毒
を上手に組み合わせて、
しっかりノロウィルスの
予防や対処をしていきましょう。
新型ノロウィルスについて、
予防方法や対処方法など、
さらに詳しいまとめは、
【関連記事】
⇒ 新型ノロウィルス、どうすればいいの?