2015新型ノロウィルス「GII.17」とは?

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2015新型ノロウィルス

これまでは冬に流行しやすい
ノロウィルスでしたが、
2015年は、夏にも発生しています。

2015年に発症している
新型ノロウィルス「GII.17」について
調べてみました。

新型ノロウィルスはなぜ夏に流行っているの?

静岡県では、8月の1ヶ月間で
ノロウィルスによる食中毒が
3件発生したことで、
9月1日にノロウィルス食中毒警報を
発表しています。

静岡県衛生課によると、
ノロウイルスによる食中毒が
増えるのは例年11月以降で、
県内では少なくとも過去5年間、
8月にはノロウイルス食中毒が
発生していない
そうです。

⇒ 静岡県の食中毒警報(PDF)

8月中に、熊本市でも
保育園児77人が食中毒症状をおこし、
7人からノロウィルスが検出されました。

また、千葉県柏市のホテルでも
15日に、10~70代の男女7人が
吐き気などの食中毒症状を訴え、
ノロウイルスによる集団食中毒と
分かりました。

今年はなぜ、これまでになく、
夏にノロウィルスに
感染しているのでしょうか。

国立感染研究所の新型ノロウィルスの情報

ウィルスの流行などを
研究している国の機関、
「国立感染研究所」で
ノロウィルスの事を調べてみました。

気になったところを赤文字にしています。

川崎市以外の自治体で情報収集が可能であった長野県、埼玉県ならびに栃木県におけるGII.17の検出状況を確認した。その結果、2013/14冬季シーズンにおいては、GII.17の検出は川崎市の1事例のみであった。ところが、2014/15冬季シーズンにおいては、2014年12月まではGII.4が主流の遺伝子型であったが、2015年1月からGII.17が検出され始め、2月ならびに3月にはGII.17が優位となった

NIID国立感染研究所
新規遺伝子型ノロウイルスGII.P17-GII.17の流行

これまでのノロウィルスは
「GII.4」というものが主流でしたが、
今年のノロウィルスは、
「GII.17」と呼ばれるものになっています。

2014/15シーズンのノロウイルスを原因とする食中毒などの健康被害事例と小児の感染性胃腸炎では、検出される遺伝子型に明らかな違いがみられた。健康被害事例からは、これまで検出例の少ない遺伝子型(GII.17)のノロウイルスが相次いで検出され、GII.17陽性検体には、市販のノロウイルス簡易検査キットでは陽性を示さないものもあった

NIID国立感染研究所
ノロウイルスGII.17型の流行とその特徴について-三重県

GII.17は、これまでのノロウィルスとは
遺伝子型に明らかな違いがあり、
その差は、これまでの
ノロウイルス簡易検査キットでは
検出されないほどのようです。

川崎市内で発生した食中毒事例を含む感染性胃腸炎患者から、新たな遺伝子型のノロウイルス(NoV)GII.P17-GII.17が検出された。流行状況調査と遺伝子解析を行った結果、2014/15冬季シーズンの1月以降に広域流行を引き起こしていたことが明らかになった。この新規NoV GII.P17-GII.17は、中国、台湾などでも流行が確認されており、2015/16シーズンに大流行する可能性がある。そのため今季の流行の立ち上がりに厳重な監視が必要である。

NIID国立感染研究所
新規遺伝子型ノロウイルスGII.P17-GII.17の流行

GII.17だけでなく、
GII.P17というのものあり、
中国や台湾でも流行っており、
流行は日本だけではないようです。

NoVは、冬季に多発するウイルス性の感染性胃腸炎を引き起こす主要な病原体として知られている。NoVには5つの遺伝子群(GI-V)が存在しているが、ヒトに感染するのはGI、II、IVである。さらに、GIは9種類、GIIは22種類の遺伝子型に分類され、それぞれの遺伝子型は抗原性も互いに異なる

NIID国立感染研究所
新規遺伝子型ノロウイルスGII.P17-GII.17の流行

ノロウィルスは、
人に感染するものは30種類以上あり、
それぞれ遺伝子型が異なっているんですね。

ノロウイルスGII.17変異株が2014/15冬季シーズンに関東近隣の自治体において流行したことが判明したが、最近では三重県での検出報告もあり、全国的に流行していることが推察される4)。さらに、GII.17変異株は国内のみならず、中国でも流行を引き起こしていることが報告されており5)、特にアジア諸国での検出数が著しく増加している6)。また、本ウイルスは米国でも散発的に検出されていることから7)、既に世界中で検出されている可能性がある

NIID国立感染研究所
新規遺伝子型ノロウイルスGII.P17-GII.17の流行

GII.17は、日本や中国などの
アジア諸国だけではなく、
アメリカでも検出されていて、
世界中に広まっている可能性があります。

2014年8月までに検出された GII.P17-GII.17株(Kawasaki323、Nagano7-1、Nagano8-1、Saitama5203ならびにSaitama5309)と2014/15冬季シーズンに検出されたGII.P17-GII.17株(Kawasaki308)間ではVP1蛋白のアミノ酸配列に違いが見られるため、本遺伝子型は他のNoV遺伝子型と同様に、速い速度で進化していると考えられる(図示せず)。さらに、GII.17変異株は、他のノロウイルス遺伝子型に対するヒトの中和抗体の結合エピトープにおいてもアミノ酸変異が生じている可能性があるため、現段階ではGII.17に対する免疫を持たない集団が多いことが予測される。したがって、今後本ウイルスが国内において主要な流行株となる可能性があるため、来シーズン以降におけるGII.17変異株の動向には十分注意が必要である。

NIID国立感染研究所
新規遺伝子型ノロウイルスGII.P17-GII.17の流行

これまでの検査キットで
検出されないほど
遺伝子型が全く違うGII.17。

既存のノロウィルスに感染して
ノロウィルスの免疫を持っている人でも、
この新型ノロウィルスに対しては
効力がなく、それが原因で、
夏にノロウィルスの集団感染が
発生してしまっているようです。

新型ノロウィルスの予防方法

型は違っていても、
ノロウィルスである以上、
家庭用漂白剤に含まれている
「次亜塩素酸ナトリウム」という
成分で殺菌することが可能です。

世界的な大流行が懸念される
新型ノロウィルス、
しっかり予防対策をしましょう!

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