台風が熱帯低気圧に変わるとは?

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台風と熱帯低気圧の違い

「台風は熱帯低気圧に変わりました」
と天気予報で聞くと、台風が弱体化して
脅威が去ったような気がします。

が!

気になって調べてみたら、
台風と熱帯低気圧の差は
意外なことでした^^;

台風と熱帯低気圧の違い

台風とは、中心付近の最大瞬間風速が
17.2m/s以上になったもののことで、
17.2m/s未満のものを熱帯低気圧といいます。

気象は、常に変化するものなので、
厳密に風速が決まるわけではありません。

また、台風の中心付近の最大風速を
常時測定することもできません。

そこで、気象庁の専門家が
さまざまな気象データを比較しながら
中心付近の最大風速を推定し、
台風や熱帯低気圧の判断をしています。

中心付近の最大風速が
17.2m/sを上回ったと判断されたら台風に、
下回ったと判断されたら熱帯低気圧になり、
熱帯低気圧から台風に復活することもあります。

台風と熱帯低気圧の違いは、
意外と小さな差だったのでした(^^;

熱帯低気圧と温帯低気圧の違い

ところがこれが、
「台風は温帯低気圧に変わりました」
となると話は違ってきます。

熱帯低気圧(tropical cyclone)とは、
熱帯または亜熱帯でできる低気圧のことで、
熱帯は温度が高いため、海から大量の水蒸気が
上昇して空気が渦を巻いてできた低気圧が
熱帯低気圧です。

熱帯低気圧は暖気だけでできていて、
中心に近づくと風速が強くなり、
前線を伴いません。

水蒸気をたくさん含んだ温かい空気で
できていて、強い風と雨を伴います。

温帯低気圧(extratropical cyclone)とは、
中緯度や高緯度に発生する低気圧のことで、
地球の緯度の南北で温度差があり、
北半球では、北側の冷たい空気と
南側の暖かい空気が温度差を解消しようとして
空気が渦を巻くことにより温帯低気圧が出来ます。

暖気と寒気の両方でできていて、
風速が一様に強くて、発達した低気圧では、
中心付近よりも周囲のほうが風速が強く、
温暖前線、寒冷前線があります。

台風は、北上するにつれて冷気と暖気との間に
前線ができ、台風から温帯低気圧へと
性質を変化させていきます。

このように、温帯低気圧は構造自体が違い、
温帯低気圧が発達して風速が17.2m/sを超えても
台風とは呼びません。

また、台風から温帯低気圧に変化した場合は、
ほとんどの場合、この変化は後戻りせず、
台風が温帯低気圧に変わることで
勢力が強まることもあります。

タイフーン、ハリケーン、サイクロンの違い

タイフーンとは、熱帯低気圧のうち、
太平洋北西部、南シナ海で発生し、
最大風速64ノット以上(世界基準)のもの。

ハリケーンとは、熱帯低気圧のうち、
大西洋北部、大西洋南部、太平洋北東部、
太平洋北中部で発生し、
最大風速64ノット以上(世界基準)のもの。

サイクロンとは、熱帯低気圧のうち、
インド洋北部、インド洋南部、太平洋南部で発生し、
最大風速64ノット以上(世界基準)のもの。

発生する場所で名前が違っていたんですね!

最大風速64ノット以上というのは、
秒速に計算すると32m/sぐらいです。

となるとわかるのが、タイフーンと台風の違いです。

台風は、最大瞬間風速が17.2m/sなので、
タイフーンよりもかなり弱く、別物です。

タイフーンの語源は、ギリシャ語のtyphon(旋風)、
アラビア語のtufan(嵐)、中国語の颶風 (ぐふう) の
三つが考えられていて、
日本の台風は、そのうちの中国語の颶風から
中国語経由で明治以降に使われるようになったものです。

まとめ

台風・・中心付近の最大瞬間風速が17.2m/s以上
熱帯低気圧・・中心付近の最大瞬間風速が17.2m/s未満
温帯低気圧・・暖気と寒気の両方でできている
タイフーン・・北太平洋西部産の熱帯低気圧
ハリケーン・・大西洋・北太平洋東部産の熱帯低気圧
サイクロン・・インド洋産の熱帯低気圧

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